ハロー。
昨日出所しました。
一度は言ってみたいな。
「シャバの空気はやっぱウメェなぁ。」
手術も無事終わり、骨も無理矢理くっついたらしい。
肉のすきまに確実な鉄の感触があり、少し広くなった肩幅が気に入らないが、とりあえず骨がつながった感じで良きかな。
入院は辛い、傷の痛みもさることながら、何よりもベッドが短いのだ。オペ室でも机みたいなのをつけたしてごまかしていた。
全身麻酔。あれは怖い。注射されてマスク当てられて、
その麻酔医師がとてもきれいな女性で、見とれていたら手術が終わってた。あれは怖い。
病室も居心地が悪かった。
隣の足が折れた斉藤というおっさんは、少し怖そうな人で一度も会話ができず、看護士にも厳格な態度をとっていた。
しかしこのおっさんはやたらと屁をかますのだ。
10分に一回はかなりのボリュームでかましやがる。
俺のヘッドフォンもなんのその。
かのaudio-technicaも斉藤さんの屁には敵わないのだ。
正面のベッドの、腰が悪いらしい三本木さんというじいさんは、いつも笑顔で。七福神の人みたいだった。癒し系だ。俺はなんだかこの神様みたいな人が気に入っていた。かわいかった。
まさかそれがこれほどの憎しみに変わろうとは思いもせんかった。
ある朝、俺が激痛のなか右手を動かしなんとか朝食を食べていると、看護士が部屋に入ってきてこう言った。
「三本木さんさぁ、一週間くらいお通じないでしょ!」
…まさか、。俺の予感は的中ベイビーだった、
「ちょっと危ないから出しちゃうよ!」
、、、 おーい……
その後の436号室の惨状は言うまでもなく、
おれは鎖骨よりも鼻が曲がって折れちまうかと思い逃げ出した。
また別の夜の話だがとても怖い体験をした。
俺は深夜に寝れなくて屋上の喫煙所へ向かった、
そこまでの道のりがまた薄暗く、それなりに怖い。
なんとか到着したものの、屋上もほぼ真っ暗で落ち着かない。
先客がいた。車いすのおばあちゃんだ。「眠れないのよぉ。」
とタバコを吹かしている。とてもかわいい話しやすい人で、
俺もなんだかホッとして会話を楽しんでいた。
佐々木トメさんと言うらしい。
トメさんが言った
「今何時?」
俺は時計を見た。…ゲっ
「…二時二十二分ですねぇ。」
トメさんは笑いながら
「あらあら不吉だねぇ、丑三つ時じゃない、
お兄ちゃん良い子だから面白い事教えてあげるよ。」
「…なんですか?」
「私ね…昨日ね…… 死んだのよ。」
そういって彼女は笑いながら去って行った。
…笑えねぇ
案の定その日は怖すぎて全く眠れず、朝になった、
さっぱりして忘れようと思い洗面所へと向かった
一人の老婆が鏡に向かって楽しそうに糸ようじをしていた。
「よっ!若者!眠れたかい?」
トメさんである。
俺は軽い殺意を覚えた。
昨日出所しました。
一度は言ってみたいな。
「シャバの空気はやっぱウメェなぁ。」
手術も無事終わり、骨も無理矢理くっついたらしい。
肉のすきまに確実な鉄の感触があり、少し広くなった肩幅が気に入らないが、とりあえず骨がつながった感じで良きかな。
入院は辛い、傷の痛みもさることながら、何よりもベッドが短いのだ。オペ室でも机みたいなのをつけたしてごまかしていた。
全身麻酔。あれは怖い。注射されてマスク当てられて、
その麻酔医師がとてもきれいな女性で、見とれていたら手術が終わってた。あれは怖い。
病室も居心地が悪かった。
隣の足が折れた斉藤というおっさんは、少し怖そうな人で一度も会話ができず、看護士にも厳格な態度をとっていた。
しかしこのおっさんはやたらと屁をかますのだ。
10分に一回はかなりのボリュームでかましやがる。
俺のヘッドフォンもなんのその。
かのaudio-technicaも斉藤さんの屁には敵わないのだ。
正面のベッドの、腰が悪いらしい三本木さんというじいさんは、いつも笑顔で。七福神の人みたいだった。癒し系だ。俺はなんだかこの神様みたいな人が気に入っていた。かわいかった。
まさかそれがこれほどの憎しみに変わろうとは思いもせんかった。
ある朝、俺が激痛のなか右手を動かしなんとか朝食を食べていると、看護士が部屋に入ってきてこう言った。
「三本木さんさぁ、一週間くらいお通じないでしょ!」
…まさか、。俺の予感は的中ベイビーだった、
「ちょっと危ないから出しちゃうよ!」
、、、 おーい……
その後の436号室の惨状は言うまでもなく、
おれは鎖骨よりも鼻が曲がって折れちまうかと思い逃げ出した。
また別の夜の話だがとても怖い体験をした。
俺は深夜に寝れなくて屋上の喫煙所へ向かった、
そこまでの道のりがまた薄暗く、それなりに怖い。
なんとか到着したものの、屋上もほぼ真っ暗で落ち着かない。
先客がいた。車いすのおばあちゃんだ。「眠れないのよぉ。」
とタバコを吹かしている。とてもかわいい話しやすい人で、
俺もなんだかホッとして会話を楽しんでいた。
佐々木トメさんと言うらしい。
トメさんが言った
「今何時?」
俺は時計を見た。…ゲっ
「…二時二十二分ですねぇ。」
トメさんは笑いながら
「あらあら不吉だねぇ、丑三つ時じゃない、
お兄ちゃん良い子だから面白い事教えてあげるよ。」
「…なんですか?」
「私ね…昨日ね…… 死んだのよ。」
そういって彼女は笑いながら去って行った。
…笑えねぇ
案の定その日は怖すぎて全く眠れず、朝になった、
さっぱりして忘れようと思い洗面所へと向かった
一人の老婆が鏡に向かって楽しそうに糸ようじをしていた。
「よっ!若者!眠れたかい?」
トメさんである。
俺は軽い殺意を覚えた。